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コロナ禍による生活行動変化とテレビ・動画コンテンツの視聴傾向

月刊『B-maga』編集長 池和田一里

最新のテレビ・動画コンテンツの視聴傾向、そしてコロナ禍による生活行動変化とメディア接触状況について、(株)電通 電通メディアイノベーションラボ統括責任者 電通総研フェローの奥 律哉 氏に解説いただいた。

"1周まわってテレビ"

 インテージ社の「i-SSPモバイルパネルデータ」(2019年1月利用ログデータより電通が作成)をもとに、実際の若者のスマホ利用状況をみてみましょう。
 まず、1日のスマホ利用時間は、月間平均(個人全体)が191分に対して、10~40代の女性では200分を超え、女性が男性より、若年層が年配層より利用時間が長い傾向があります。10代女性となると228分利用し、生活行動で圧倒的なシェアを占めています。
 若者がスマホで多く利用しているアプリは、10~20代女性ではSNSとインスタントメッセンジャー。一方の10~20代男性では動画共有サービスがトップで、YouTubeの一強です。10~20代のYouTubeの楽しみ方の王道は、短尺動画の連続視聴。その結果として1回あたりの動画共有アプリ利用時間が長くなっています。
 では、テレビメディアへの接触はどうでしょう。テレビの強みは視聴時間(セッション)の長さ。同社「i-SSP TV×モバイルパネル」(2019年6月利用ログデータより電通が作成)によると、一度電源を入れると地上波テレビ(17時~24時台)は個人全体で平均63分リアルタイム視聴され、20代男性でも59.5分視聴します。しかし、宅内Wi-Fi環境も整い、テレビ受像機のネット接続率も50%超((株)サイバー・コミュニケーションズ調査結果)となった今、大画面のテレビスクリーンで動画配信や動画共有サービスを楽しむ傾向が高まっています。実際に、結線されたテレビ受像機での動画視聴実施者と非実施者のテレビ受像機の利用状況をみると、動画視聴実施者のテレビのライブ視聴と録画再生視聴が減少し、共有系動画、無料動画、定額制動画配信サービスがそれを補うレベル以上に利用されています。
 動画配信サービスもPCやスマホで加入し、徐々にテレビスクリーンで視聴する頻度が高まっていくとされています。若者は自分のタイミングで見たいコンテンツを見るニーズが強く、アポイントメント視聴前提のテレビではなく、YouTubeやNetflixなどをテレビスクリーンで楽しむ人は増えるでしょう。テレビ端末での動画配信や動画共有サービスが地上波テレビのセッションと同様に長くなっていきます。つまり、1周まわってテレビ受像機に戻ってきます。

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潜在ニーズが浮き彫りに

 コロナ禍による在宅勤務や休校で、在宅時間が大幅に増加した2020年。メディア接触状況を、ビデオリサーチ社の「MCR/exデータ」(2020年4-6月調査(東京50㎞圏))をベースに解説します。  まず、外出を控えた結果、起床在宅時間が2時間21分増加し、睡眠時間も18分増えました。これにより、1日のテレビ利用も2時間59分と前年から14分増加し、PCやタブレット利用(ネット・動画・メール・SNS)が14分、モバイルに至っては31分増加しました。10~20代男女で最も利用されたのがスマホで、M1層(20~34歳の男性)では21時台からスマホがテレビ利用を上回り、高校生に至っては、朝から深夜までスマホがテレビを上回っています。若い子たちは22時以降、自分の部屋に戻り、スマホでYouTubeやSNSを楽しみ、そのまま寝落ちしています(笑)。彼らが社会人となる10年後、テレビはさらに厳しい状況になるのでは。  コロナ禍によって、モバイル端末利用がさらに加速。サブテレビの役割をスマホが担っています。利用時間をみてもわかるように、スマホは"宅内メディア"。コロナ禍によって潜在ニーズが浮き彫りになりました。 コンテンツ戦略を立てる上では、テレビ視聴とインターネット利用、デバイスごとに別々に分析するのではなく、消費者の生活行動全般を俯瞰して捉えたほうが良いと思います。