CPRA news

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新時代の開幕に寄せて

芸団協CPRA権利者団体会議 委員/一般社団法人映像実演権利者合同機構(PRE) 代表理事 小野伸一

 新しい時代がやってくる。

 もう聞き飽きたフレーズではあるが、平成最後のCPRA newsとなれば、言わないわけにもいくまい。そして新しい時代を目前に、CPRAは設立25周年を迎え、これをきっかけに、CPRAを構成する4団体の代表からなる権利者団体会議のメンバーが巻頭言を述べてきた。今回の執筆は「平成最後」、かつ、権利者団体会議メンバーのトリという大役である。さて、平成最後に、新しい時代に、何を書き記そうか。

 新しい時代......とはいうものの、ふとエンターテインメントの世界を見れば、常に新しい流れがやってきて、絶えず変化している。

 例えば、10年前はほとんどの人が知らなかった「サブスクリプション」という言葉も、今や当たり前のように行き交い、書店にも『サブスクリプション』というタイトルの本が平積みされるようになった(公立図書館でも10人以上の予約が入っているではないか!)。世界に目を向ければ、2019年のグラミー賞では、最優秀アルバム賞にノミネートされた2作品がCDリリースされていないという。そのうちの1作品はこの4月に日本限定でCDが発売されるらしいが、世界的には確実にフィジカルからストリーミングにシフトし、時代は大きく動いている。

 テレビに関しても昨年末に国内で動きがあった。4K8K 衛星放送が始まった。4K8Kというと映像がきれいになるという印象が強いが、音もよりクリアに、立体的に進化している。普及には時間を要するかもしれないが、今後は家庭でも、ますます臨場感あふれる映像、音楽を楽しめるようになっていくのは間違いないだろう。インターネットでの常時同時配信も目前だ。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを一つの節目として、様々な進化や利便性の向上など、変化に富んだ時代が続くことは想像に難くない。

 2020年といえば、実演家の権利においても節目の年といえるだろう。1920年にいわゆる旧著作権法の改正により「演奏歌唱」が著作物として追加され実演家が法律上の保護を受けるようになってから100年、1970年に現行著作権法において実演家の権利が著作隣接権として確立してから50年になる。新しい時代を前にして、改めて、実演家の権利を確立し向上に尽力してきた先人たちへは感謝と尊敬の念に堪えない。一方で、幾度とない著作権法の改正や国際条約の成立がありながらも、実演家をめぐる諸問題は増幅の一途をたどっている現状に、権利者団体会議メンバーとして、また、約90,000人の権利者から委任を受けているCPRAの運営に携わる身として、職責の重さを再認識するとともに、それを全うしなければと決意を新たにするところである。

 2020 年はスポーツの祭典の年としてだけではなく、文化においても新たな節目の年となるよう邁進していきたい。そして、このような状況のもと新たな時代を切り拓いていくためには、関係各位のご協力も不可欠である。様々に違いはあると思うが、このCPRA newsを手に取っている方々は、多かれ少なかれ日本のエンターテインメントやコンテンツの発展、実演家の地位向上などそれぞれに願っていることに変わりはないだろう。ぜひとも引き続きお力添えいただきつつ、新しい時代の開幕を――関係各位と共に、実演家にとって希望ある時代が築けると信じながら――迎えたい。