CPRA news Review

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権利者団体会議委員からのご挨拶

一般社団法人日本音楽制作者連盟 理事長 門池三則
一般社団法人演奏家権利処理合同機構MPN 理事長 椎名和夫
一般社団法人映像実演権利者合同機構 代表理事 小野伸一

音楽創造のサイクルを繋ぎ続けるために

一般社団法人日本音楽制作者連盟
理事長 門池三則

 音楽市場の主軸が音源ビジネスからライヴビジネスに移行して随分長い年月が経過しました。もはや、ミリオンはおろか10万枚のCDセールスも容易ではなくなりました。ライヴ市況は右肩上がりが続いていますが、内訳を分析してみれば、一部のトップアーティストたちによる大規模コンサートツアーや全国各地で開催されているフェス、イベントに牽引されているのが分かります。多くのアーティストは、数百人のライヴハウスでの演奏を必死になって積み重ねているのです。新人や中堅アーティストが新曲のリリースを続けるための原資を確保する上で、CPRAが扱う使用料・報酬の重要度が益々高まってきています。これまでと同様に、CATVやコミュニティFM局などの全国各地の小規模事業者からの徴収を粘り強く展開し、今後はインターネット事業者とのやり取りを充実させることも視野に入れていかなければなりません。 また、欧米からの要請もあるレコード演奏権の確立も重要な課題になります。新たな使用料・報酬を確保し、迅速かつ効率的にアーティスト並びにプロダクションへ還元することが我々CPRA に課せられた使命であり、音楽創造のサイクルを繋ぎ続けるためにも、喫緊の対応が求められています。

100円ショップのコンテンツ

一般社団法人演奏家権利処理合同機構MPN
理事長 椎名和夫

 慣用的につい使ってしまう「コンテンツ」という言葉。我々に関係する部分で言えば音楽や映像ですが、様々な商用サービスを前提として、その中に流れる内容物=商品としての意味合いから、いつしかコンテンツと呼ばれるようになったと想像できます。その呼び方のせいか、音楽や映像を単なる消費財としてしか見ない風潮が蔓延してきています。でもしかし、作品とユーザーの関係性だけ見ても、代替性の無さであったり、財物としての普遍性の無さであったり、ちょっと考えれば100円ショップのタワシと同列には扱えないことがわかるはずなのですが、それを理解しないというか、むしろ意に介そうともしないような発言が見受けられます。かつて「コンテンツへのリスペクト」という言葉がありました。コピーワンスの運用ルールの改善を話し合った総務省の委員会の答申冒頭部分に議論の前提として書かれた言葉ですが、こうした表現が慮るところの「見識」が、今後見過ごされるようになってしまうことは避けなければなりません。見識ある議論が期待されます。
 権利処理の精緻化に終わりはなく、改善のため不断の努力を続けていく必要がありますが、一方で、大変難しい課題ではありますが、個々の権利者に代わって、こうした風潮に対して組織としてしっかり向き合っていくことも、権利者団体としての重要な役割のひとつになってきているのではと強く感じます。

輪をつなぎ共に前進を

一般社団法人映像実演権利者合同機構
代表理事 小野伸一

 2016 年の夏はリオデジャネイロオリンピックによって熱い暑い夏でした。オリンピックのシンボル・五輪の輪は「南北アメリカ大陸、ヨーロッパ大陸、アフリカ大陸、アジア大陸、オセアニア大陸」これら五大陸の団結・連帯を意味しているといいますが、今回、南アメリカ大陸で初めて開催されたことにより、さらに意味深くなったのではないでしょうか。
 CPRA newsをご覧の方々には言うまでもありませんが、近年、コンテンツや実演家の権利を巡る状況は大きくそしてスピード感を持って変化しており、常に喫緊の課題にさらされています。多くの権利者を束ねるCPRAは、その課題に対して果たす役割や責任がとても大きいものと考えます。課題解決への道は様々あるかと思いますが、権利者同士の団結の輪をつなぎ、クリエーターとその作品を楽しむ人々との連帯の輪をつなぐことが解決につながるひとつだと思います。
 CPRAを構成する4 団体の代表者は権利者団体会議を設けてつながりを強め、共に課題と向き合っています。これからも、その一員として共に輪をつなぎ、誠心誠意尽力して参りたいと思います。