vol.017「新しいものを創るから「伝統」が生きる」
高校卒業後の1980年に、文学座の研究所に合格。翌年、超人気テレビドラマ『太陽にほえろ』の新人刑事役に抜擢され、一躍人気俳優となった渡辺徹さん。歌手としてCMソングをヒットさせるなど、アイドル的な活躍で早くから注目を集めてきた。その後も、テレビ番組では司会者としての才能を披露したり、数多くのドラマやバラエティー番組にも出演するなど、マルチタレントぶりを発揮。その一方で、文学座の所属俳優として、毎年1、2本の舞台は欠かさずつとめ、『マリウス』『息子ですこんにちは』『夕鶴』『あかさたな』など多数の代表作品がある。今回は、一昨年亡くなった北村和夫さんの代表作だった『花咲くチェリー』追悼公演直前の稽古で忙しい合間をぬって、夫人である榊原郁恵さんの「姉」役をかつてテレビドラマで演じた丸山ひでみCPRA広報委員が、「俳優」渡辺徹の神髄についてじっくりとうかがった。
(2009年05月22日公開)




―― いい言葉ですね。
あまりこだわりはないですけど、『花咲くチェリー』も北村和夫も、文学座の財産だと思っているんです。芝居はその人一代のものなのだけど、こういう財産を過去のものにして、大切に奥にしまっておいちゃいけない気がするんですよ。いつも俺たちが磨いて、ピカピカにしておかなきゃ。そうすることで、みんな北村さんのことを思い出すかもしれないし、同時代で「いい作品だな」と思ってくれるかもしれない。そういう意味では、機会があったらやっていきたいなと思っています。
そうなんです。お金がほしいとかじゃなくて、一生懸命に身を削って仕事をしたものを、大事にしていただいてるんだなあっていう思いがちがいますよね。みなさんの意識が問題になるので、こういう具体的な活動はすごく大事だと思いますよ。
―― ご夫婦二人で一緒に何かをやろうという考えはないんですか。