vol.009「スタンダードナンバーを追い求めて」
1970年代前半に、いまも幻の名盤として語り継がれるアルバム「摩天楼のヒロイン」でシンガー・ソングライターとしてデビュー。79年には「モンローウォーク」が大ヒット。その後も、映画主題歌の「スローなブギにしてくれ」などのヒットを出すほか、多くのアーティストに曲を提供し、映画音楽なども数々手がけるなど、多彩な活動を展開してきた南佳孝さん。幼いころから聴いていた音楽が、兄姉の影響によるスタンダードナンバーや映画音楽で、すでにそのころから自分のなかにメロディーラインができあがっていったといいます。7月17日におこなわれた第2回「c2c・音楽の絆」イベントのライブ直前、CPRA広報委員の松武秀樹が、スタンダードナンバーへの思いや曲のつくり方、これからの音楽の方向性などについて伺いました。
(2007年08月07日公開)




―― 作曲は、どういうやり方でするんですか。
南の曲は、いいんだけどなんか難しいんだよな」とか、「もっとみんなが口ずさめるような、あざとい部分も必要なんだ」とかディレクターにいろいろいわれてたんです。で、なんだろうな、マイナーでラテンかななんて考えて。最初はCM曲だったんですけど、CMは落ちちゃって。でも、ディレクターが「これは食いつきあるんじゃないか、曲にしよう」っていう話で、坂本龍一君がアレンジしてくれて、「モンローウォーク」っていう曲ができたんですよ。それで、僕がアルバム出したら、郷ひろみ君が毎年1、2か月ニューヨークへ行くんだけど、その空白の期間にディレクターが「モンローウォーク」やりたいっていってくれて、相乗効果みたいなので。
―― 南さんのいちばんもとにながれてるジャズだとか、スタンダードだとかは、やっぱりずっと心の底辺にあるものなんですか うん。なんも変わってないですよ、僕は。デビューしたときから。やっぱり、1曲でも多くスタンダードナンバーをつくりたいっていうのが、デビューしたときから一緒ですから。
そんな、とんでもない。この前も、斉藤和義君ていうギターのすごくうまい若手が「モンローウォーク」と「スローなブギにしてくれ」をカバーしてくれて、嬉しいですよね。やっぱりハートだと思うな。松武さんを前にしておこがましいんですけど、コンピュータ音楽のなかにも、雰囲気を入れることはできると思うのね。それが、ハートなんだと思いますよ。そこを大事にしていきたいですよね。真面目だな、答えが(笑)。