vol.007「実力・キャリア・容姿でクラシック界をリード」
コミック『のだめカンタービレ』の「のだめオーケストラ」のコンサートマスターはあまりかっこいいキャラではないが、いま眼の前に颯爽と現れたコンサートマスターはキャラもキャリアも飛びっきり!何しろ、22歳の若さで東京都交響楽団のソロ・コンサートマスターに抜擢された実力の持ち主で、指揮者から厚い信頼を得ている天才ヴァイオリニストなのだ。その名は矢部達哉さん。ご覧の通りのイケメンである。ご本人は自分は天才ではないというが、楽員の尊敬を一身に集めるその技量はソリストとしても極めて高い評価を得ているのだから、紛れもない天才ではないか。共演した小澤征爾、朝比奈隆、ジャン・フルネ、ベルンハルト・クレーなどの著名な指揮者も彼の資質を絶賛している。また、室内楽の分野でも評価は高く、多くのアーティストが彼を共演者に迎えている。あのチェロのヨーヨー・マもその一人だ。コンサートマスターという重責を果たしながら、幅広いレパートリーに高水準の演奏を聴かせ、多くの人びとを魅了し続ける矢部達哉さん。また、後継者の育成にも心を砕いている矢部さんに、その多彩な活動の中から生まれ出る音楽観、音楽家としての在り方、そして、人生観などについて、CPRA広報委員の菊地一男委員がうかがった。
(2007年02月15日公開)




                        
 誇張はあるけど、音大の雰囲気はリアルに描かれていると思いました。音大っていうのはああいう風にものすごく変わった人も多いし、ものすごい天才も多いんですよ(笑)。ただ、指揮者とオーケストラの関係はちょっと違いますね。小澤征爾さんみたいな大物は別ですが、学生の指揮者があんな風に怒鳴ったりしたら、その時点でおしまいです。それと、かなりの天才でも耳で聴いただけで『ペトルーシュカ』を弾くのは絶対無理ですね。それから、シュトレーゼマン。彼ほどの巨匠は、あんな下界には降臨しないんです(笑)。でも、「のだめ」のオーケストラもけっこう上手だったし、出てくるバイオリンやピアノの音も通常のドラマとは雲泥の違いがあって、その意味でもリアルでしたね。
 ―― それだけの楽器ですから大事にしなくてはいけませんね。金額が高いからというだけではないんですね。(笑)。
 ―― コンサートで演奏をするというのは大変なお仕事ですね。
 ―― 2004年にサントリーホールで、B'zの松本孝弘さんが都響と一緒に演奏をされていますよね。ギターとオーケストラのコラボレーションは珍しいことだと思いますが。
 ―― 今後の目標は?