令和7(2025)年度 実演家著作隣接権センター(芸団協CPRA)事業計画
芸団協CPRA
実演家著作隣接権センター(CPRA)は、一般社団法人日本音楽事業者協会、一般社団法人日本音楽制作者連盟、一般社団法人MPN及び一般社団法人映像実演権利者合同機構との協力関係に基づき、その業務基盤の整備を行い、実演家の権利擁護及び集中管理に係る専門機関として一層の充実を図るとともに、以下の権利処理及び調査研究広報活動を推進する。
(1)文化庁長官の指定に係る業務(指定団体業務)及びこれに準ずる業務を適正に実施する
1)実演家に係る放送及び有線放送における商業用レコードの二次使用料につき、権利行使の受任、使用料の徴収分配を行う。また、令和7年度より放送使用楽曲単位による分配に移行するため、国内事情に即した分配方法を早期に決定するとともに、データ収集力の更なる強化について検討を続ける。
2)実演家に係る商業用レコードの貸与報酬及び使用料につき、権利行使の受任、使用料の徴収分配を行う。
3)実演家に係る私的録音補償金の分配を行う。
4)ブルーレイディスクレコーダー及びそれに使用する記録メディアに係る私的録画補償金の分配について引き続き検討する。
5)協定を締結している諸外国の実演家権利集中管理団体との間で、国内で徴収した外国人実演家及び権利者の使用料等を分配し、また海外で発生したCPRA委任者の使用料等を徴収するとともに、新規の協定締結に向けた交渉も継続する。海外エージェントについては直接クレイムに対し使用料等の分配を行う。
6)海外団体との共有データベースIPD・VRDBで提供される各種情報の積極的な活用や、各国の使用実績データの入手と精査を進め、必要な場合は個別交渉等も行うことにより、海外からの徴収額の増加に努める。併せて、音楽メタデータ提供会社も利用し邦人実演家参加楽曲の抽出効率化も目指す。
(2)実演家の著作隣接権及び報酬請求権の処理に関する業務を適正に実施する
1)商業用レコードの放送用録音につき、一任型管理事業として権利行使の受任、利用の許諾及び使用料の徴収分配を行う。
2)放送番組に使用された商業用レコードの送信可能化につき、一任型管理事業として権利行使の受任、利用の許諾及び使用料の徴収分配を行う。なお、オンデマンドストリーム配信の徴収については、一般社団法人日本レコード協会を通じて行う。
3)日本レコード協会を窓口としているウェブキャスティングに係る商業用レコードの集中管理について、使用料の受領及び分配に向けた必要な整備を進める。
4)一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)に構成団体として参加するとともに、音楽実演分の分配方法の検討を継続し、令和7年度中の分配実施を目指す。
5)新たな利用態様に対応して管理委託契約約款及び使用料規程の整備を行い、集中管理の範囲拡大に向けた更なる研究を進める。
6)一般社団法人映像コンテンツ権利処理機構(aRma)との協力関係を維持する。
(3)指定団体及び著作権等管理事業者として各種権利処理業務を適正に進めるとともに委任者の管理を的確に行いデータの充実を図る
1)調査・資料費について、ノンフィーチャード・アーチストに関するデータ収集力を強化しつつ、将来における徴収額の見通し等も考慮しながら適正な運用に努める。
2)権利者団体及び関係諸団体との協力関係に基づき、新規の委任取得及び委任者データの管理を行う。
3)業務管理システムの改修及び機能の充実を更に進め、各業務のサポートを継続するとともに、関連諸団体とのデータ連携及び情報共有の強化に努める。
(4)実演家の権利拡大と集中管理に向けた調査研究を展開する
1)実演家への対価還元に向けて、国際条約に定める「公衆への伝達」に係る実演家の権利の在り方及び集中管理について、とりわけ、レコード演奏・伝達権の創設に向けた調査研究を引き続き展開する。また、サブスクリプション・サービスをはじめとしたオンデマンド配信からの対価還元の在り方について調査研究を行う。
2)文化審議会著作権分科会等における、生成AIと著作権等の知的財産権を巡る議論のほか、私的録音録画補償金制度について経済的合理性を備えた新たな制度の構築に向けた議論に参加するとともに、我が国の著作権法改正及び国際的動向等に機動的に対応し、調査研究を行う。
(5)権利拡大に係る運動、関係団体との協力、諸会合への参加等を積極的に行う
1)調査研究と広報活動とを密接に連携させつつ、文化庁をはじめとする政府、民間の諸会議に参加し、実演家の権利拡大に係る運動を展開する。関連して、文化芸術推進フォーラムへの参加協力を継続し、文化芸術振興議員連盟との連携を強化する。
2)実演家の肖像パブリシティ権の普及啓蒙及び不正使用に対する停止活動等を行うため、特定非営利活動法人肖像パブリシティ権擁護監視機構への支援を継続するとともに、肖像パブリシティ権に関する調査研究を引き続き実施する。
3)WIPO(世界知的所有権機関)の諸会合に参加するとともに、FIA、FIMへの支援を継続して連携を維持しつつ、実演家等の国際機関が主催する会合、地域セミナー等への協力を行う。また、著作権法学会、ALAI(国際著作権法学会)及びALAI JAPAN(国際著作権法学会日本支部)等の学際的な場を通じて、理論的な側面から実演家の権利等について調査研究及び情報収集を行うとともに、国内外のネットワークの形成、強化に努める。
4)WIPOや文化庁等がアジア・太平洋地域等に向けて実施する著作権・著作隣接権制度の普及活動に積極的に協力する。また、公益社団法人著作権情報センター(CRIC)の会員として、著作権・著作隣接権制度の普及啓発や調査研究に係る事業への参加協力を継続する。
5)SCAPRの総会、理事会、委員会及びワーキンググループに参加するとともに、データに基づいた相互の透明性の高い徴収分配が実施できるよう加盟団体との連携を継続する。また、セミナーやオンライン教材に講師として参加し、開発援助事業に協力する。
6)「実演家の権利管理に関するアジア団体フォーラム」及び「実演家の権利の集中管理に関する研修」を実施し、アジアの団体に対して実務面からの育成支援を行うことで、協定に基づく相互の徴収分配が早期に実現できるよう努めるとともに、各国との個別交渉等により現状や課題を把握しつつ連携を強化し、アジア地域全体の底上げを目指す。
(6)実演の価値や実演家の権利、芸団協CPRAの活動等に対する理解を促進する広報活動を展開する
1)機関誌「CPRA news Review」を定期的に発行し、権利者、利用者、実務家、研究者及び政府関
係者等に向けて、実演家の権利や芸団協CPRAの活動、徴収分配の実務、実演家の権利をめぐる諸問題について理解を促進するための広報活動を行う。
2)即時性が高くかつ広く一般に訴求できるウェブサイトやSNSを積極的に活用して、芸団協CPRAの認知度を高め、その活動への理解を促進するための広報活動を行う。また、必要に応じてウェブサイトの充実に向けた検討を行う。