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フランスでストリーミング型音楽配信に関する実演家の報酬について歴史的な合意が成立

芸団協CPRA 法制広報部

2022年5月、フランス文化大臣が指名した音楽調停人※1の支援を受け、実演家の団体とレコード製作者の団体が、ストリーミング型音楽配信サービスに関する実演家の最低報酬について合意した。

この合意では、フィーチャード・アーティスト(メインボーカルなど作品に中心的に表示される実演家)、ノンフィーチャード・アーティスト(演奏家など作品に参加する実演家)それぞれの最低使用料率と、フィーチャード・アーティストに対するアドバンス(前渡金)の最低金額が定められた。なお、一定再生回数を超えるごとに、使用料率は引き上げられることになっている。

この合意は2021年に改正されたフランス知的財産法典の規定に基づくもので、同条は2022年5月12日までに団体間で合意できなければ、国の代表を委員長とする委員会で実演家の最低報酬の条件を決定することと定めており、期限ぎりぎりで合意に達したことになる。実演家権利管理団体のADAMIは、初めて実演家の報酬に関する契約条件が定められることとなり、実演家に公正な配分が行われるための大きな一歩であると高く評価している。

なおベルギーでは、実演家にUGCサイト及びストリーミング配信サービスでの音楽及び映像の利用に関し、実演家に報酬請求権を付与する法案が審議中であり、その動向が注目される。

【注】
※1  フランスでは、業界関係者間で締結された「オンライン音楽の公正な発展のための覚書」に基づき、音楽分野での紛争の調停及び行動規範の策定を促す音楽調停人制度が設けられている(フランス知的財産法典第214-6条)。 (▲戻る)

【参考】
ADAMIプレスリリース(フランス語)
https://www.adami.fr/wp-content/uploads/2022/05/Communication-Adami-Remuneration-des-artistes-en-streaming-un-accord-est-trouve-13052022.pdf

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デジタル単一市場における著作権指令に伴うフランス知的所有権法典の改正(CPRA news ONLINE 2022年2月)