CPRA news Review

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平成29年度 実演家著作隣接権センター(CPRA)事業計画

芸団協CPRA

実演家著作隣接権センター(CPRA)は、一般社団法人日本音楽事業者協会、一般社団法人日本音楽制作者連盟、一般社団法人演奏家権利処理合同機構MPN及び一般社団法人映像実演権利者合同機構との協力関係に基づき、その業務基盤の整備を行い、実演家の権利擁護及び集中管理に係る専門機関として一層の充実を図るとともに、以下の権利処理及び調査研究広報活動を推進する。

(1)文化庁長官の指定に係る業務(指定団体業務)及びこれに準ずる業務を適正に実施する
1)実演家に係る放送及び有線放送における商業用レコードの二次使用料につき、権利行使の受任、総額の取り決め及び徴収分配を行う。放送・有線放送市場が低調の中、大手放送事業者団体等と使用料交渉を行い、徴収額については現行水準以上の確保に努める。また、今後の徴収業務の在り方について検討を行う。
2)実演家に係る商業用レコードの貸与報酬及び使用料につき、権利行使の受任、総額の取り決め及び徴収分配を行う。縮小が進むCDレンタル市場について調査研究を継続して行うとともに、使用料の在り方について利用者団体と協議を進める。使用料滞納事業者への督促は継続して行い、滞納の増加を防ぐよう努める。
3)実演家に係る私的録音補償金の分配を行う。
4)諸外国の実演家権利集中管理団体との新規のオプション1協定(相互管理)締結に向けた交渉を開始する。また、同協定締結団体との間では、国内で徴収した外国人実演家及び権利者のための使用料や報酬を分配し、海外で発生したCPRA委任者の使用料や報酬の徴収を行い、海外エージェントに対してはその直接クレイムへの使用料等の分配を行う。さらに今年度からは、海外団体との共有データベースIPD及びVRDBで提供される非委任者情報や分配保留楽曲情報を積極的に活用し、海外からの徴収額の増加に努める。

(2)実演家の著作隣接権及び報酬請求権の処理に関する業務を適正に実施する
1)商業用レコード実演の放送用録音につき、一任型管理事業として権利行使の受任、利用の許諾及び使用料の徴収分配を行う。
2)放送番組に使用された商業用レコード実演の送信可能化につき、一任型管理事業として、権利行使の受任、利用の許諾及び使用料の徴収分配を行う。なお、オンデマンド配信の徴収については、一般社団法人日本レコード協会を通じて行う。
3)新たな利用態様に対応して管理委託契約約款及び使用料規程の整備を行い、分配業務と連携し集中管理の範囲拡大に向けた更なる研究を進める。
4)一般社団法人映像コンテンツ権利処理機構(aRma)との協力関係を維持する。

(3)指定団体及び著作権等管理事業者として各種 権利処理業務を適正に進めるために委任者の管理を的確に行う
1)権利者団体及び関係諸団体との協力関係に基づき、新規の委任取得及び委任者の管理体制の整備を行う。
2)業務管理システムの改修及び機能の充実を更に進め、関連諸団体とのデータ連携、情報の共有を強化する。また、平成30年度以降の使用ブラウザの選定作業を行う。

(4)実演家の権利拡大と集中管理に向けた調査研究を展開する
1)今後拡大が予想されるインターネットを利用した音楽配信に対応するため、公衆への伝達権等について引続き調査研究を行う。具体的にはクラウドロッカーサービスの集中管理、ウェブキャスティング等の放送類似サービスの集中管理やサブスクリプションサービスからの対価還元の在り方等に重点を置き、配信専用音源と商業用レコードの関係、並びにレコード演奏権・伝達権の確立といった継続的な課題にも取り組む。
2)現在機能不全に陥っている私的録音録画補償金制度について、抜本的見直しを含めて新たな補償制度等の構築に引続き取り組む。国際的な動向や過去の経緯を踏まえた調査研究を進めつつ、関連団体との連携を強化し、実演家への利益還元を目指して、制度の在り方等を検討する。
3)政府及び与党での「柔軟性のある権利制限規定」の検討に対応しつつ、保護期間延長をはじめとした改正著作権法の早期施行を求める。これらの動向に機動的に対応するとともに、関連諸制度について調査研究を行う。
4)クール・ジャパン戦略をはじめとして、現在ASEAN等のアジア地域が注目されている。文化庁、WIPO、現地政府、団体等と連携した普及啓発活動に関連して、アジア地域の実演家の権利拡大を目指し、引続き調査研究を行う。
5)芸団協CPRAではこれまで、肖像パブリシティ権擁護監視機構の協力の下、実演家の肖像パブリシティ権の普及啓発活動及び不正使用者に対する停止活動等を行ってきた。同機構への支援を継続するとともに、実演家の権利等への理解を深め、クリエイターを尊重する気風を醸成することを目的に、子供及び保護者を対象とした体験型の普及啓発活動を継続して実施する。

(5)権利拡大に係る運動、関係団体との協力、諸会合への参加等を積極的に行う
1)調査研究と広報活動を密接に連携させつつ、実演家の権利拡大に係る運動を展開する。関連して、私的録音録画補償金問題や保護期間延長に取り組んでいる文化芸術推進フォーラム(芸団協、JASRAC、MPA及び日本レコード協会等16団体によって構成)やCulture Firstへの参加協力を継続し、文化芸術振興議員連盟との連携を強化する。また、引き続き権利者団体との連携を強化して、著作権及び著作隣接権を巡る諸問題の解決を目指す。
2)文化庁、総務省等をはじめとした政府、民間の諸会議に参加し情報収集等に努めるとともに、放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)等による、コンテンツ流通に関する様々な取り組みに参加協力する。
3)前年度に引き続き、WIPOの条約会議、著作権等常設委員会(SCCR)等に参加するとともに、FIA、FIMへの寄附を継続して連携を維持しつつ、実演家等の国際機関が主催する会合、地域セミナー等への参加協力を行う。また、著作権法学会、ALAI及びALAI JAPAN(ALAI日本支部)等の学際的な場を通じて、理論的な側面から実演家の権利等について調査研究及び情報収集を行うとともに、国内外のネットワークの維持・強化に努める。
4)著作権情報センターの会員として、同センターや政府等が実施する普及啓発や調査研究に係る事業への参加協力を継続する。文化庁やWIPOがアジア地域に向けて実施する著作権・著作隣接権制度の普及活動に協力し、国内外の関係機関によるセミナーなどへの参加及び研修員等の受入れを積極的に行う。

(6)実演の価値や実演家の権利、芸団協CPRAの活動等に対する理解を促進する広報活動を展開する
1)機関誌「CPRA news」を定期的に発行し、権利者、利用者、実務家、研究者及び政府関係者等に向けて、実演家の権利や芸団協CPRAの活動、徴収・分配の実態、実演家の権利をめぐる諸問題について理解を促進するための広報活動を行う。
2)広く一般に訴求できるホームページ等インターネットを活用して、芸団協CPRAの認知度を高め、その活動への理解を促進するための広報活動を実施する。
3)実演家の権利等について普及啓発を行うため、関係団体と連携した広報活動を実施する。そのほか、必要に応じて実演家の権利や芸団協CPRAの活動等について、様々な方法により広報活動を行う。

以 上