SANZUI vol.03_2014 winter

瞬演の舞台から

600年前に思いを馳せて能楽

難しそう、と思われがちな能楽。「楽しむためのヒントはストーリーのある演劇として観ること」と観世喜正さん。そうすれば台詞が聞き取れなくても想像で補える。次はどうなるんだろう?と考えながら観れば、舞台も近く感じられる。

興味の入口はさまざまだ。例えば装束に使われる絹織物『唐織』。「とても 柔らかくて軽い江戸時代の唐織を再現するために、土づくりから始めた研究 家もいます」布を織る糸、糸を吐く蚕、蚕が食べる桑、桑を育てる土......と遡った結果だとか。

能楽を観る時、私たちは600年前の人と同じ体験をしている。今は伝統芸能だが、当時は時代の最先端の芸能だった。「長く残ってきたということは、それだけの良さがあったのだと思います。はるか昔に思いを馳せつつ、お客さまそれぞれにとっての魅力を見つけてほしいですね」


観世喜正(かんぜ よしまさ)=シテ方観世流。1970年東京生まれ。父・三世観世喜之に師事。1973年、仕舞「老松」にて初舞台。1975年、能「合浦」にて初シテ。国内外の公演に多数出演。公益社団法人能楽協会理事。公益社団法人観世九皐会理事。「のうのう能」「神遊」等を主宰。

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