SANZUI vol.02_2013 autumn

瞬演の舞台から

ストーリーに重きをおく『語りもの』の代表常磐津節

「常磐津(ときわず)節の魅力は、語りの楽しさ」と常磐津清若太夫さん。語り手である太夫と三味線方とで演奏する浄瑠璃の一派。江戸で生まれ、歌舞伎の舞踊劇の伴奏音楽として発展。同じ江戸浄瑠璃の清元節が江戸の町の雰囲気を切り取るのに対し、常磐津節の演目には物語がある。「時代とともに上品さが求められて唄の要素が強くなったが、もともとはストーリーに重きをおく『語りもの』の代表なのです」

常磐津節の演目には、足柄山で母親と暮らしていた金太郎が源氏にスカウトされて都で侍大将になる『山姥』など、多様なキャラクターが登場。それを衣装・かつらなど一切つけず、座ったまま演じ分ける。「お姫様からお爺さんまで、声だけで何にでも変身します」

かつては一般的な習い事のひとつだった常磐津。「いまは触れる機会が減っていますが、栄養を摂るようなつもりで味わって聴いてほしいですね」


常磐津清若太夫(ときわずきよわかだゆう)=幼少より父・藤間光之助のもとで日本舞踊を修行。1957年より四世常磐津松尾太夫に師事し、1965年に清若太夫の名を許され師範に。2000年に重要無形文化財常磐津節(総合認定)保持者に認定される。常磐津協会理事。

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