PLAZA INTERVIEW

vol.001「(社)音事協 40周年記念 ミュージカル「スター誕生」」

社団法人 日本音楽事業者協会の創立40周年記念事業のミュージカル『スター誕生』が、CPRA共通目的基金助成事業として、3月17日、東京・青山劇場で開幕する。このイベントは音事協が掲げている「プロジェクト21」の一つの柱である「Music Save The Earth(音楽こそ地球を救う)」の一環として行われるもの。主役の今井絵理子、島谷ひとみ、仲間由紀恵をはじめとする豪華でユニークなキャスティング。さらに協会40年の歴史の中で会員各社が生み出してきた数々のヒット曲や名曲が様々な場面で巧みに使われ、日本の音楽史の移り変わりを同時に楽しめる演出となっている。今回のPLAZA インタビューでは、このミュージカルの制作統括の任に当られている尾木 徹音事協常任理事にお話をうかがった。
(2004年03月12日公開)

Profile

ミュージカル『スター誕生』制作統括
社団法人 日本音楽事業者協会 常任理事
尾木 徹さん

『プロジェクト21』とミュージカル『スター誕生』

今回、社団法人 日本音楽事業者協会40周年記念ミュージカルとして、この『スター誕生』を制作することになったわけですが、その前に、音事協が掲げている『プロジェクト21』についてご理解をいただいたほうがよろしいかと思います。
『プロジェクト21』とは、田邊昭知前会長の発案のもと「21世紀に向けて、音事協ができる社会貢献とは何か」というテーマで事業を推進しようということになり、現在の井澤健会長に引き継がれ、具体的な検討が始まり、さまざまな事業が行われるようになったものです。
この『プロジェクト21』には、大きく分けて4つのテーマがあります。
その1は、『肖像権の啓蒙』です。
現在の日本では、残念ながらまだまだ肖像権に関する意識が低いため、3年前からかなり活発な啓蒙活動を行っています。
この間は、年間を通して新聞・雑誌、街頭等で肖像権啓蒙キャンペーンを展開し、昨年と今年の2月にはその集大成として『肖像権セミナー』を開催しました。
2つ目のテーマは、画期的な『音楽会館の開設』です。
これは協会の長年の夢と言えるもので、音楽の殿堂をつくるというプロジェクトです。いろんな夢が詰め込まれた大変なプロジェクトですが、現在は物件の調査段階です。
3つ目は、『チャリティ&ボランティア』というテーマです。
これは、はっきり目に見えるような形で、音楽を通した社会貢献事業を行うというものです。このテーマにそって過去3年「Save THE MIYAKEJIMA」と銘打った三宅島災害救援活動を実施しています。具体的には、東京国際フォーラムで音事協会員社の演歌・歌謡曲の歌手を中心としたコンサートを開催し、収益金を三宅島に寄付しています。
そして4つ目のテーマが、『Music Save The Earth』。
「音楽こそが地球を救う」を合い言葉に、環境問題、自然破壊、戦争などの様々な地球的危機を音楽のパワーで救おうというものです。今回のミュージカル『スター誕生』は、音楽を通じた社会貢献事業ということで、映画、コンサート、著名人によるCD等、様々なアイデアがでた中で、これまで会員社が蓄積してきた音楽的財産を有効活用しようということで、ミュージカルという形になったわけです。

新しい日本のミュージカル『スター誕生』

ちょうど発案時期が、ロンドンで火がつき、ニューヨーク・ブロードウェイで評判になったABAの名曲を盛り込んだミュージカルの『マンマ・ミーア!』が話題になり始めた頃で、「これは名曲の復活の時代になるぞ」という流れを企画に携わっているものすべてが感じました。
そこでミュージカル実行委員会を結成し、2002年6月に、プロデューサーや演出のラサール石井さんらに、ニューヨークにリサーチに行っていただきました。そこから得られたものをタタキ台に、日本のオリジナルで、音楽を中心としたミュージカルをやろうと大枠が固まったというわけです。
『マンマ・ミーア!』がABAの名曲だけで構成されているように、ピンク・レディーやザ・ピーナッツなど、一組のメンバーのものだけで構成しようという案も出ましたが、最終的に協会40年の歴史とともに生まれた数々の輝かしいヒット曲をベースに構成することに落ち着きました。
私自身、特にミュージカル好きというわけでもなく、代表作といわれるもの以外はミュージカルを観ていません、そんな私の印象から言うと、日本で上演されているミュージカルは外国作品が多く、国産のオリジナルが少ないと感じてきました。一般的に言って、日本人のミュージカルの捉え方や楽しみ方は、外国とはちょっと違っていたのではないでしょうか。気取った感じというか、クラシックを聴きに行くようなかしこまった気持ちをミュージカルに持っているのではないでしょうか。
『スター誕生』は、もっと気軽に観ることのできるミュージカルだと思っています。日本の歌、しかもかつての名曲・ヒット曲で構成されたミュージカルです。音事協会員社が残してきた1曲1曲は、まさにそれぞれが3分間のドラマです。誰もが口ずさむことのできる身近な名曲揃いです。少なくとも従来のミュージカルへの思いこみを壊せるような作品をお見せできると考えています。

これからの音楽、音事業の役割

時代がなかなかいい音楽を生み出せない状況にあるのか。過去のすばらしい作品を再認識したいというあらわれなのか。音楽は、現在リメイク・ブームです。若い歌手もカバー曲を多く唄っていますし、CMでも昔の曲が多く使われています。だったら、音事協は名曲の宝庫なのだから、そこにスポットを当てたい。このミュージカルを通して、音事協の会員社はこんなに良い曲を作ってきたのだという再認識をしていただきたい。と同時に、「音楽の力」そのものを再認識するひとつの機会になるのではないでしょうか。
いま音楽界が苦しい状況にあるのは、どこかイージーにやってきたことに対する結果でもあるのではないでしょうか。ヤング層への偏った迎合などを反省してみる良い機会なのかもしれません。
よく指摘されることですが、60~80年代のヒット曲は、年齢を問わずみんなで唄えた。それに対して、いまは100万枚CDが売れても、ターゲット以外の年齢層では誰も知らない。これはいわば、「100万人という一部の人間」のための音楽作りなのではないでしょうか。『スター誕生』をきっかけに、反省しつつ原点を見直せたらという風な生意気なことも考えております。
また音事協としては、音楽を通しての社会貢献事業ですから、収入が上回ればチャリティに回すなどの活用も考えたいと思っています。
かつて音楽関係6団体で、阪神淡路大震災の際に武道館でチャリティ・コンサートを3日間行いました。その際、どうすれば被災者の方に一番喜んでいただけるかということを検討した結果、被災地の学校に楽器を贈ることになりました。
今回も、今後も、このような音楽を通したチャリティの形ができればと考えています。そのためにも、関係団体を始め、皆様のご協力をお願いしたいと思っております。


(文責 : CPRA WEB編集室)
JAME 社団法人 日本音楽事業者協会

社団法人 日本音楽事業者協会40周年記念ミュージカル『スター誕生』
■主 催 :
■脚本・演出 :
■主な出演者 :


■期 日 :
■会 場 :
■料 金 :
(税込み・全席指定)
■チケットに関するお問合せ :
■公演に関するお問合せ :
001_pho01.jpg(社)日本音楽事業者協会
ラサール石井
今井絵理子、島谷ひとみ、仲間由紀恵、
加藤茶、布施明、中尾ミエ、森公美子、
諸星和己、ROLLY、森山未來ほか
2004年3月17日(水)~4月18日(日)
東京・青山劇場
S席 10,000円
A席 8,000円
オデッセー 03-3796-9999
ミュージカル『スター誕生』事務局 03-5474-1072
各プレイガイドにて発売中

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