お知らせ

2018.11.01

フォーラム「デジタル時代、芸術創造の新たな大循環を」を開催しました

20181030forum02.JPG 20181030forum01.JPG 去る10月30日、芸団協CPRAは、文化芸術推進フォーラムと協力し、連続フォーラム『今こそ文化省!』(全6回)の第2回目として「デジタル時代、芸術創造の新たな大循環を-今、実演家、クリエーターは適切かつ公平な対価を得ているか?」を開催しました。

まず、安藤和宏東洋大学法学部教授から、各報告の論点整理が行われた後、『YouTubeとValue Gap問題』を報告しました。YouTubeのようなユーザーがアップロードするコンテンツのストリーミングサービスを提供するサービスプロバイダーが得ている収益と、音楽の権利者が得ている収益とが不均衡であるとする「Value Gap」が、国際的に問題提起されていることを説明。その要因とされる「セーフ・ハーバー条項」について説明し、アメリカやEUの状況などにも触れたうえで、日本でも海外の動向を調査・研究し、有効な対策を講じなければ、手遅れになる可能性があると指摘しました。

続いて、中井秀範CPRA運営副委員長から『レコード演奏・伝達権』について報告しました。先進国やアジア諸国では認められているにもかかわらず、日本の著作権法では音源を店舗等で聴かせる目的で利用する場合に実演家やレコード製作者には権利がないことを指摘。そのうえで、日本の著作権法は、国際条約上の「公衆への伝達」に係る制度が国際的な標準からずれており、ガラパゴス化し、制度が複雑化していることから、知財立国・国際調和の観点も含めて「レコードの公衆への伝達」に係る制度全般の見直しを求めました。

最後に、椎名和夫CPRA運営委員から『私的録音録画補償金制度について~求められるクリエーターへの適切な対価還元』の報告がありました。私的録音録画補償金制度は著作物等の利用と保護のバランスをとる重要な制度であるとしたうえで、私的録音録画に用いられる機器等と制度の対象となる機器等との間に大きな乖離が生じ、制度が機能していないこと、諸外国と比較して日本では多機能機器が対象とされていないことなどを指摘。真の「文化芸術立国」実現のためにも、私的録音録画補償金制度の見直しが急務であることを訴えました。

全ての報告の後、フロアとの間で質疑応答が行われ、盛況のうちに閉会となりました。

このフォーラムについては、CPRA news vol.91(2019年1月発行)でも詳細をお伝えする予定です。

また、連続フォーラム『今こそ文化省!』は、引き続き開催されます。詳細は、以下のリーフレットをご覧ください。

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