お知らせ

2017.04.05

「柔軟性のある権利制限規定」の整備の在り方について意見を提出しました

3月28日、芸団協CPRAは、文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会が公表した中間まとめに対し、「柔軟性のある権利制限規定」の整備の在り方について、以下の通り意見を提出しました。


 中間まとめ第1章第3節4.では、「柔軟性のある権利制限規定」の整備の在り方につき、「多層的」な対応を行うことが適当とし、第1層から第3層に該当する行為類型について、それぞれ規定を整備することとしている。これについて、以下のとおり意見を述べる。


(1)第2層に該当する行為類型について、中間まとめでは、「インターネット情報検索(著作権法第47条の6)」、「所在検索サービス」及び「情報分析サービス」等をあげているが、それ以外の事例は、今のところ全く見当たらない。これを以って、直ちに「権利者に及び得る不利益が軽微である行為類型」と分類し、「相当程度柔軟性のある規定」の整備が必要であると結論付けることには、些か疑問を感じる。


(2)「本来的利用」に該当しないと分類される利用には、国際条約の定めるスリーステップテストに照らし、権利制限の対象とすべきではないものも含まれ得ることに留意する必要がある。本来は、このような分類をする前の段階で、著作物の「通常の利用を妨げない」という基準を以って、慎重かつ詳細に検討する余地があるのではなかろうか。


(3)第2層に係る権利制限規定の適用を受けて行われる利用により、著作権上の保護を受ける権利以外の権利が侵害される懸念がある。例えば、希少性のあるアイドル写真や本人が公開を望まない写真などが表示された結果、サムネイルやスニペットといった表示形式であっても、当該実演家の人格的利益や経済的利益が害される恐れがある。
 現に、著作権法第47条の6の権利制限に基づき実施されているはずのインターネット画像検索サービスが、実質的にコンテンツ提供サービスと化していることに鑑みても、上述のような侵害を招かないよう十分な配慮が必要である。


なお、この中間まとめについては、次号CPRA newsにて詳しくご紹介します。


●関連資料
文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会中間まとめ(外部サイト)
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/bunkakai/45/pdf/shiryo3-2.pdf