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この50年の音楽と創作活動

芸団協CPRA運営委員 芸団協常務理事(広報担当) 松武秀樹

 私がシンセサイザーを使って、何故、今のような仕事をしているかと言うと、電気がすごく好きな「電気少年」だったことに遡ります。小学生のころ、5球スーパーラジオキットを秋葉原で購入して、ラジオをはじめて製作しました。バリコンを調整しながら周波数を合わせ、ラジオが鳴った瞬間の喜びは、今でも覚えています。ただ、調整が悪く、一局(ラジオ関東)しか入りませんでしたが、自分の作ったもので音が鳴る、何かが動くということに、喜びを覚えた体験は、今、音楽と電気とを両立させる仕事をする原点にもなっていると思います。

 この体験から何十年もの時間が経つ中で、音楽にかかわるメディアは、著しく変化していきました。それまでアナログのレコードであったものが、1982年にデジタルのCDが発売されました。また、ラジオやテレビといった地上放送以外にも、有線放送や衛星放送など様々なメディアが生まれ、地上放送もアナログからデジタルに移行しました。そして、インターネットが登場し、時間と場所を選ばずに、様々な方法で、音楽にアクセスすることが可能になりました。最近では、楽曲を1曲ごとにダウンロードして聴く方法だけではなく、月額定額料金を払い、聴き放題になる、いわゆるサブスクリプション・サービスも登場しています。私が子どもの頃、苦心して製作したラジオで音を鳴らしたときに比べ、音楽にかかわるメディアは多様化し、誰もが簡単に音楽を聴くことができるようになりました。

 では、音楽の創作現場はどうでしょうか。私が仕事としているシンセサイザー。この「シンセサイザー」と言う名称が登場したのは、今から、およそ60年前と言われています。私がシンセサイザーに興味を持ったのは、1970年の大阪万博で聴いたのがきっかけでした。当時、パソコンのような記憶装置はなく、電圧で音を制御する楽器だったため、同じ音を出すためには、結線図をノートに書いて覚えるしかなく、それらしい同じ音は出せるものの、完全に同じ音を出すことはできず、今のシンセサイザーと比べると、不自由なところもありました。しかし、アナログレコードがCDに変わったのと同じころ、デジタル・シンセサイザーと共にMIDIプロトコルが登場し、音楽創作の幅は、飛躍的に拡大しました。

 CPRAが発足して2013年に20周年を迎え、今年2015年、芸団協は設立50周年を迎えます。この50年を振り返ると、アナログからデジタルに移行したことは、音楽にかかわるメディアにとっても、音楽の創作現場にとっても、大きなターニングポイントであったと言えるでしょう。このような技術革新の中で、私的録音録画補償金制度や送信可能化権の創設など実演家をめぐる著作権法改正がなされ、芸団協CPRAは、実演に係る著作隣接権者の権利擁護と、公正円滑な利用を実現するための事業に取り組んできました。将来を見据えつつ、技術発展の中で、権利擁護と公正円滑な利用に向けた、更なる取組を今まさに進めて行かなければなりません。次の20年、50年に向け、ご指導ご鞭撻を何卒よろしくお願い申し上げます。